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なんとなく、つれづれ草紙。



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市街劇 人力飛行機ソロモン 松山篇。
離陸から1週間が経過してもなお、わたしは、何も整理出来ないままでいる。

搭乗できなかった可能性が高かった人力飛行機に、さまざまな偶然や運命が重なって、搭乗員として参加することができたことを心から幸せだと思う。
それと同時に、燃え尽きて灰になって、雨に降られて、まるで泥のように心地よくぐったりとしているのも、また事実。

3日前の電話、慌てて手作りした黒い衣装、宿も確保しないまま船に乗った無謀な旅、再会、白塗り、光る雨粒。


あの日、運命に導かれるように観たお芝居。
今でも忘れることが出来ない。ロビーでの客入れ芝居、楽器のないオーケストラ、くらくらするような大音響と完全暗転、謎かけのような言葉と不安定な、それでいて衝撃的な音楽。

箸にも棒にもかからない、それどころかうっかりすれば「向こう側」へ落っこちてしまいそうだったわたし。いや、既に半分くらいは黄泉の国へと足を踏み出していた、わたし。

生きよう、と思った。
何故だかわからなかったけれど。
次の公演も観たい、と思ったからかもしれない。

あれから、8年が経った。
わたしは、いつのまにか、舞台に立つようになっていた。
そして、いつのまにか、自分の足で、自分の手で、生きることを楽しめるようになっていた。
人間としても、役者としても、まだまだだけれど。
ひきつった傷跡を残す左手で、手さぐりしながら、生きている。

そしてその日、わたしはあの時観た俳優たちと同じ舞台の片隅に、いた。
立っていた、というのはおこがましいかもしれない。懸命にぶら下がっていた、というくらいが正しいのかもしれない。それでも、同じ舞台に、同じ空間に、わたしは、確かに、いた。

ソロモン搭乗そのものに対する役者としての思いとは別のところで、わたしの個人的感情が流れ出していくのを、止めることは残念ながら出来なかった。

冷たく光る雨の粒を見上げながら、生きていて良かった、と、思わずにはいられなかった。

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活動予定
** 出演 ** 金平糖企画新作公演「ニュースペーパー」 2017年10月28-11月1日、11月21-22日。 ** 掲載 ** カメラピープルブックレーベル 「だれがなんといおうとだいすきな写真」採用 ** 撮影 ** どりばん「どり盤」CDジャケット、ポスター撮影
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