おもちゃばこ

新しく手に入れたおもちゃ・OLYMPUS E-520。
まだ使いこなせないけれど、徐々に、手になじみつつある。

世界はなんて美しいのだろう、と、ファインダーを覗くたびに、思う。
陳腐すぎて、思わず笑ってしまいそうになるくらい。

わたしの視界は、色を持ち、形をなしている。
そんなことにどうして今まで気がつかなかったのだろう。

colorless

色とりどりにきらきらしたものを写したいのに
ゆっくりとこぼれおちて　こわれてしまう。
ゼリービーンズもこんぺいとうもキャンディも
わたしのポケットには　ひとつも　残っていない。

春なのに

中途半端にしかできないなら、やめてしまえばいいのに。
いつもそう思いながら、それでもやめることができなくて、中途半端なわたしをあちこちにさらしつづける。

その橋を渡るには

久しぶりに、当時の友人たちと連絡を取った。

今二人目の子育て中なの。仕事でとてもとても余裕がない毎日。実家でのんびり家事手伝いさせてもらってるわ。そうそう、今年あの子、結婚するらしいわよ。

まだ、実感のわかないかつての少年少女たち。
きっと、最近連絡の途絶えがちなわたしたちを、あなたが引き合わせてくれたんだよね。
そうとしか思えない、そうでも思わないとやっていられない、それはあまりにも突然すぎて。

その橋を渡るには、あなたはまだ早すぎた。

最後に会ったのは10年以上前だったような気がする。
この数年あなたがどこにいて何をしていたかまったく知ることはなかったけれど、朝早く届いた1通のメールがあなたのことを思い出させてくれた。
あの学び舎で3年間、同じ時を過ごした。
正直言って、あなたとはそれほど仲が良かったわけでもなかったし、時にはお互い酷いこともしたかもしれなかった。まだ思い出せないこともたくさんあるけれど、でも、あの時間の中にあなたは確かに、いた。

ねえ、あなたはどこへ行ってしまうの？

ごめん、まだ何も言えないよ。
でも、これだけは言える。

何してるのよ、どうしてくれるのよ。
60歳になっても同窓会しようねって言ってたの、あなたじゃない。
ほかでもない、あなただったじゃない。

これは、なんですか？

それは突然、降ってきた。
 
恋をしなさい。

それは啓示のように、突然、降ってきた。

体を起こすことすら面倒で、人間関係なんてちょっとばかり放置気味の、わたしに。
息をすることすら苦しいのに、そんな余裕がわたしのどこにあるというのだ。
好きで好きでたまらなくて、どんなにぎりぎりの状況でも恋に落ちてしまうことはあれど。
そんな相手もいない状況で、わざわざ。どうしても恋をしなくちゃいけない理由なんてどこにもない。

でも、何故だろう。
その啓示を耳にしてもなお、わたしは毛布にくるまって燻ぶっている。
それなのに、肋骨のちょうど下のあたりに、なんだかあたたかいものが渦を巻いているのに気づく。

まるで恋をしているみたいな。